経歴生家は本牧・小港にあった。7歳の頃から独学でピアノを弾き始める。
15歳の時、「パン猪狩とマーキス・トリオ」のピアニストとしてプロデビュー。翌年には自身のバンド「松岡直也カルテット」を率いてライブを中心に活動を開始する。また、「浜口庫之助とアフロ・クバーノ・ジュニア」にピアニスト、アレンジャーとして参加し、ヒット曲「黄色いサクランボ」を編曲する。
この頃からラテン音楽の虜になり、「キューバン・スペシオーサ」、「松岡直也ピアノ・トリオ」、「ラテン・スペシオーサ」、「松岡直也ラテン・ピアノ・トリオ」、「松岡直也ハバナ・ビーツ」(後に「松岡直也ハバナ・ビーツ・オーケストラ」に改名)などのラテンバンドで活躍する。
1961年には「アーティストリー・サウンド」を結成し、ショーの音楽プロデュースと編曲を手掛けるようになる。その後、いずみたくが主宰する「オール・スタッフ」に所属。映画・テレビ・CM音楽等の作・編曲を手掛ける傍ら、スタジオ・ミュージシャンとして活動を始める。
1972年にはテレビドラマの主題歌として使われた「太陽がくれた季節」(歌・青い三角定規)を編曲し、青い三角定規はこの曲で第14回日本レコード大賞・新人賞を受賞。いしだあゆみ「小さな愛の歴史」作曲(古賀賞/日本作曲家大賞受賞)。更に「松岡直也オールスターズ」を結成しライブ活動を再開する。
1977年、初のリーダーアルバム『JOYFUL FEET』を発表。1979年にはホーン・セクションを加えた大規模編成による「松岡直也&ウィシング」を結成。また「ラテン・ジャズ・アンサンブル」の日本公演にピアニストとして参加した。
1981年には神戸市で開催された「ポートピア'81」のダイエー館(オムニマックス・シアター)の音楽を担当。そこでの使用楽曲は同年のアルバム『THE SHOW』に収録されている。また同じ1981年には、ロックプロジェクト・MASH(マッシュ)を立ち上げるものの、衣装の派手さや音量の大きさが仇となってしまい短命に終わる。
1982年、音楽活動30周年を記念したアルバム『九月の風』を発表。オリコンチャート第2位、半年間30位以内にチャートインするなど、インストゥルメンタル・ミュージック界において驚異的な記録を作った。またアルバム・タイトル曲が三菱・ミラージュのCMに使用されたこともあり、一気に松岡の名前が知れ渡るようになる。その後1 - 2年は三菱の各車種のCMに松岡の楽曲が使用されていた(中にはCMオリジナルでアルバムには収録されていない楽曲もある)。
しかし人気が高まるにつれ、大規模編成であるウィシングのライブ活動がままならなくなりやむなく解散。小規模編成による「松岡直也グループ」を結成。この中からは和田アキラ、高橋ゲタ夫、菅野真吾(現・カルロス菅野)、是方博邦、大橋勇(現・勇武)といった人気ミュージシャンを生み出している。
日本国外では1980年と1983年の2回にわたって、スイス「モントルー・ジャズ・フェスティバル」に出演。特に1983年は大成功を収め、そこで演奏された楽曲は同年のアルバム『WELCOME』にも収録されている。
1985年にはその年にANN系列で放送を開始した『ニュースステーション』をはじめとするANNニュースのテーマソングを作曲。また中森明菜に提供した「ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕」の作・編曲を手掛け、同曲は第27回日本レコード大賞を受賞し、また松岡は日本作曲家大賞・優秀作曲家賞を受賞した。
翌1986年にはわたせせいぞう作で日本テレビ系列で放送された『ハートカクテル』の音楽を担当。楽曲は「ハートカクテルVol.1・Vol.2」として1986年11月と1987年2月に発売された。一方でプロレスラー・藤波辰巳(現・辰爾)の入退場テーマ曲を作曲するユニークな面も見せた[2]。
1990年にはNHK教育テレビで放送された『ベストサウンドIV』の講師を担当。1993年には再びホーン・セクションを交えた大規模編成によるバンド「松岡直也バンダ・グランデ」を結成、更に1997年にはTBS系列のドラマ『智子と知子』の劇中音楽を担当。2005年にはニューアルバム『Sincerely』を発表し、ライヴ活動も盛んに行うなど、70歳を過ぎても精力的に活動を続けていた。
しかし、2001年から病気を患っており、2014年3月末に体調が急変して入院した。4月29日午前10時22分、前立腺癌のため川崎市の病院で死去[3]。76歳没。
ディスコグラフィー[編集]シングル[編集]松岡直也と吉田美奈子
- Lovin' Mighty Fire/American Highway(1979年、ワーナー・パイオニア、L-3504A)
松岡直也 & ウィシング
- 九月の風 = The September Wind(1982年、Warner Brothers、K-1518)
- COME TO ME(Warner Brothers、K-1521)- ボーカル・大空はるみ
- A Farewell To The Seashore = 午後の水平線(1983年、Warner Brothers、M-1502)
- On A Summer Day / The September Wind(1985年、Warner Brothers、M-3602)
- コスモスアベニュー/1/2の確率(1986年、Warner Brothers、M-1507)
アルバム[編集]- JOYFUL FEET/松岡直也オールスターズ(debut album)(1977年)
- DAY BREAK/松岡直也オールスターズ(1977年)
- STEFFANIE DE PRAIA~海辺のステファニー/松岡直也(1978年)
- MAJORCA/松岡直也 & Wesing(1978年)
- FIESTA FIESTA/松岡直也 & Wesing(1978年)
- THE WIND WHISPERS/松岡直也 & Wesing(1979年)
- LIVE at MONTREUX FESTIVAL/松岡直也 & Wesing(live/2disc)(1979年)
- SON/松岡直也 & Wesing(1980年)
- DANZON/松岡直也 & Wesing(1980年)
- MASH/Mash(1980年)
- THE SHOW/松岡直也 & Wesing(1980年)
- PACIFIC JAM/土岐英史 松岡直也(1981年)
- THE SEPTEMBER WIND 九月の風~通り過ぎた夏/松岡直也 & Wesing(best)(1982年)
- FALL ON THE AVENUE~見知らぬ街で/松岡直也(音楽活動30周年記念)(1982年)
- WELCOME/松岡直也(live & studio/2disc)(1982年)
- A FAREWELL TO THE SEASHORE~午後の水平線/松岡直也(1983年)
- LONG FOR THE EAST/松岡直也(1983年)
- 夏の旅/松岡直也(1984年)
- ONE LAST FAREWELL~Naoya Matsuoka best selection/松岡直也(best)(1985年)
- SPLASH & FLASH~遅い朝食にはビールを/松岡直也(1985年)
- WIND SONGS(ドライブ・ミュージック)/松岡直也(best)(1985年)
- BEACH SONGS(シーサイド・チューン)/松岡直也(best)(1985年)
- HOW ROMANTIC!(ロマンチック・チューン)/松岡直也(best)(1985年)
- BAILA MI SON(ラテン・チューン)/松岡直也(best)(1985年)
- ハートカクテル Vol.1/松岡直也(soundtrack)(1985年)
- WATERMELON DANDIES/松岡直也(1986年)
- ハートカクテル Vol.2/松岡直也(soundtrack)(1986年)
- 日曜島へ/松岡直也(音楽活動35周年記念)(1987年)
- SNOW BEAT/松岡直也(best)(1987年)
- MAJESTIC/松岡直也(1988年)
- NOW'S THE TIME/松岡直也(1988年)
- SONGS and DAYS/松岡直也(1989年)
- PLAY 4 YOU/松岡直也(live)(1989年)
- JUNE JULY AUGUST/松岡直也(1989年)
- TIME PASSING/松岡直也(1990年)
- MAPAΘΩN/松岡直也(1990年)
- PASSIONATE PIANO COLLECTION/松岡直也(3disc)(1991年)
- THE NAOYA MATSUOKA~best selection/松岡直也(best/2disc)(1991年)
- DANCE UPON A TIME/松岡直也(音楽活動40周年記念)(1992年)
- MINERAL/松岡直也(1993年)
- HEART & LOVE~ballad collection/松岡直也(best)(1993年)
- ヴィーナスを探せ/松岡直也(1994年)
- シーラカンスの夢/松岡直也(1996年)
- MUCHOS NAOYA~vocal best selection/松岡直也(best)(1996年)
- 智子と知子/松岡直也(soundtrack)(1996年)
- SUMMER VACATION~Naoya Matsuoka best selection/松岡直也(best)(1996年)
- EMERALD/松岡直也(音楽活動45周年記念)(1997年)
- THE EARTH BEAMS/松岡直也(1999年)
- UN JOUR…/松岡直也(2001年)
- AN AFFAIR TO REMEMBER/松岡直也(音楽活動50周年記念)(2002年)
- SINCERELY/松岡直也(2005年)
- 松岡直也 BEST COLLECTION WARNER MUSIC YEARS 1979-1996(best/5disc)(2011年)
- DRIVE BEST!/松岡直也(best)(2013年)
- BEAUTIFUL JOURNEY -Romantic Piano Best Collection/松岡直也(best/3disc)(2016年)
映像作品[編集]- 松岡直也&ウィシング・ライブ~音楽活動60周年記念~(2012年9月27日)
- 松岡直也&ウィシング・ライブ~音楽活動60周年記念~ 完全版(2018年4月29日)
- ライヴ・アット・モントルー・ジャズ・フェスティバル1983【デジタル・リマスター版】(2019年7月31日)
楽曲提供[編集]作曲[編集]- 中森明菜 「ミ・アモーレ」「赤い鳥逃げた」「月夜のヴィーナス」(作曲・編曲)
- 久保田利伸 「The Latin Man」(作曲・編曲)- 1984年に発売された松岡のアルバム『LONG FOR THE EAST』にも収録されている。
- 長山洋子 「真夜中のオンディーヌ」(作曲・編曲)
- 畠田理恵 「ターミナル」(作曲・編曲)
- ペドロ&カプリシャス 「カーニバル・ラブ」「GAFIEIRA NIGHT」(作曲・編曲)
- マルシア 「灼熱…サウダージ 〜AMOR…SAUDADE〜」「熱風エリア」「紅い蓮〜Chove Chuva〜」「逆光線」(作曲・編曲)
- 清野由美 「リオの魔法使い」(作曲)
- 土田誠子 「世界を結ぼう」(作曲)
編曲[編集]- 青い三角定規 「太陽がくれた季節」(編曲)
- ゴールデン・ハーフ 「黄色いさくらんぼ」(編曲)
- 佐良直美 「華やかな孤独」(編曲)
エピソード[編集]- 松岡が在籍した「浜口庫之助とアフロ・クバーノ・ジュニア」には一時、ハナ肇も在籍していた。その縁もあり、1960年、「ハナ肇とクレージーキャッツ」でピアノを担当していた石橋エータローが胸を患い一時休業した際、実現こそしなかったものの、クレージーの臨時メンバーにならないかと、松岡も声をかけられたという[4]。
参考[編集]- 1987年発表のアルバム『日曜島へ』及び1992年発表の音楽生活40周年記念アルバム『松岡直也ベスト・セレクション』の各ライナー・ノーツを参考に記載